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新型コロナウイルスで航空機リース契約はどうなる?

投稿者 Bush吉田 2020年03月31日

また、新型コロナウイルスに絡んだ話です。

航空機、船舶、海上コンテナなどの大型物件のオペレーティングリース事業を行う匿名組合に出資する法人クライアントが多くあります。

匿名組合の事業の流れを、航空機のオペレーティングリース事業を例にして簡単に説明します。
・ 匿名組合は出資者からの出資金と金融機関からの借入金を資金源としてボーイング社やエアバス社などから航空機を購入します。
・ その航空機をエアライン(航空会社)にリース期間を定めて貸し出します。
・ 最終的には、リース期間中にエアラインが購入選択権を行使して航空機が買い取られることがほとんどですが、購入選択権が行使されずにリース期間が満了となった場合には航空機は市場で売却されます。
・ 匿名組合契約が終了し、出資金と利益が出資者に払い戻されます。(終了前に随時払い戻されることもあります。)

なぜ、このような匿名組合に出資するかと云いますと、節税策として大きな効果があるからです。
匿名組合では、航空機のリース料収入が売上となり、航空機の減価償却費や借入金利息、運営委託費が費用となります。半年ごとや1年ごとといった一定の期間ごとに決算が行われ、その利益や損失は出資者に対して出資持分に応じて帰属する仕組みになっています。

航空機の例では、リース期間の前半(特に初期)に、リース料収入を超える航空機の多額の減価償却費が計上されることから、匿名組合に多額の損失(赤字)が計上されることとなります。
その損失(赤字)が出資者に対して出資持分に応じて帰属することとなることから、会社に多額の損失を計上することができ、利益を圧縮できるという仕組みです。

この損失は、出資額まで損金算入することが認められており、短期間に多額の損失を計上することができます。例えば、5,000万円を匿名組合に出資した場合には、初年度に多額の損失を計上し、2年目~3年目で損失が5,000万円に達するものが多いです。
出資額を超えた損失は、リース期間後半の利益や最終的な航空機の売却益と相殺されます。
リース料収入、減価償却費や借入金利息などの費用は事前に把握できることから将来の損益が固定しやすく、計画的に将来への税の繰り延べができるため、決算対策(利益圧縮)や事業承継対策(自社株式評価額圧縮)として利用されるのです。

なお、最終的には、航空機売却による多額の利益が計上されることとなります。

新型コロナウイルスが世界中に蔓延しはじめました。
その感染防止のため、世界中の国々で入出国が制限され、人々の動きがストップしています。
エアライン各社は定期便の欠航や運休で売上が大幅に減少しています。
財務体力がなく手元資金が少ないエアラインは倒産リスクがあるでしょう。
先日の新聞にエアライン各社の手元資金水準の記事がありました。
(日経朝刊2020年3月19日)売上高比で、デルタは0.8ヵ月分、アメリカンは1.1ヵ月分、ルフトハンザは1.1ヵ月分、シンガポールは1.1ヵ月分、ANAは2.2ヵ月分、JALは2.6ヵ月分と報じられていました。
外資系のエアラインの手元資金が意外なほど少ないことに驚かされました。
もっとも、新興国やLCCのエアラインは財務基盤がさらに脆弱なところが多いようです。
新型コロナウイルスの感染が短期間で収束せずにこのまま人々の動きが停滞するとエアラインは倒産を免れません。

もし、エアラインが倒産した場合、航空機のオペレーティングリース事業を行う匿名組合はどうなるのでしょうか?

貸出先のエアラインが新興国やLCCの場合には別のエアラインに引継がれるとは限りません。
最悪の場合、リース期間の中途でリース料収入がなくなり、出資金を大きく毀損する可能性があります。
過去に、リーマンショックの翌年の2009年にJALが破綻し、2010年11月民事再生法が適用されました。
しかし、稲盛和夫氏の陣頭指揮の下、2012年9月に短期間のうちにV字回復し、見事に再上場を果たしています。
このときJALの航空機のオペレーティングリース契約は、中型機を中心に条件が厳しく見直され継続されたようです(大型機については契約解除となったものもあると聞いています)。

いずれにしても、新型コロナウイルスによる想定外の事態が起こりました。
人々の動きを閉鎖する緊急事態が長引けば、世界中のエアラインが経営危機に陥る可能性があります。
オペレーティングリース事業を行う匿名組合には、航空機以外にも船舶や海上コンテナなどの大型物件を対象としているものがありますが、いずれにもしても、貸出先の財務基盤をよく調査することが必要です。

さらに安全を期するならば、保険会社の最低保障価額が設定されたものに出資することかもしれません。
そして、今回の新型コロナウイルスのようなリスクもあり得ることを認識した上で、慎重に意思決定することが肝要です。

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新型コロナウィルスショック どう対応する?

投稿者 Bush吉田 2020年03月19日

 前回のブログでも触れたように、今年の確定申告の期限は新型コロナウイルスの影響で1ケ月延長され4月16日までとなっています。

しかし、事務所ではこれからの業務を考慮して例年通りのスケジュールで動いていますが、残念ながらまだ申告が済んでいないクライアントが約30件ほどあります。

これは昨年10月からの消費税の税率引き上げや食料品等の軽減税率の導入で煩雑な処理をしなければならず、処理に手間が掛っていることや、新規にクライアントとなった法人の多くが12月決算法人(原則2月末申告)であったことなどからスケジュールがままならず、結果、遅れてしまっているように思います。

ここのところ、外資系企業が12月決算法人でその影響か?流行なのか経営者は会社設立に当たって12月決算を希望する傾向にあります。

また、今年の確定申告は複雑な不動産譲渡も多かったことも拍車をかけたこと思います。

クライアントから申告期限が一か月延びたのだから、「ゆっくりでもいいでしょう?」と資料が集まらない先もあります。

言い訳がましいことを書きましたが、今年はいろいろと大変で事務所にとって、異例な申告期限の1ケ月延長の措置に助けられたような状況です。

 ところで、新型コロナウイルスが世界的に拡大(パンデミック)し、大変なことになりそうです。
人々の行動が自粛ないし制限され、不特定多数が集まるところには感染リスク高いとのことで、セミナー、宴会、旅行、イベント開催などが次々に中止されて、経済活動に大きな影響が出始めています。

 実は、4月に事務所主催で行う予定だった異業種交流ゴルフコンペも新型コロナウイルスが終息するまで延期としました。楽しみにしておられたクライアントの方々などには大変申し訳なく思っています。また、例年4月に開催していた税制改正セミナーも延期としました。
主催する側としてリスクを回避する義務があると延期を決めました。
新型コロナウイルスが少しでも早く収束に向って欲しいと思います。

 連日、トップニュースでは新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大していることが伝えられ、人々の活動が停滞して実体経済が不況になる懸念されています。
世界の株式市場が大暴落となっていることから、リーマンショック以上の不況になるのではないかとの見方があります。
感染の収束の見通しがあれば回復すると思います。
世界的にパンデミックになった今、日本のような国民皆保険制度で医療水準が高く致死率が低い国ばかりでないので、収束までには相当の期間を要し、また、その収束に向けては治療薬の開発が決め手であり、少なくともこの先1~2年かかるかもしれません。

その間に、資金力のない中小企業は資金繰り難で倒産してしまうでしょう。

先日、日本政策金融公庫の担当者が事務所に来所され、今の様子をお聞きしたところ、融資希望者が殺到していて休日返上で対応しても事務処理が間に合わないとのことでした。
資金力のない零細企業から優先して迅速な融資実行をやって頂ければと思っています。

最後に、新型コロナショックへ対応していくには、借入をしてでも年間の経常支出を賄える程度の手元資金を準備しておくことが重要でしょう。

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