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Bush Yoshida's Blog

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なぜ、日本の消費は伸びないのか?

投稿者 Bush吉田 2018年10月01日

先週のブログに引き続き、今週も消費税について・・・。
消費税率が来年10月から引き上げられる予定です。
また延期されるのでは?
との声もありますが、今回はそうはならないと思います。
 
衆議院選挙時に、さらなる教育費無償化を2019年10月より行うことが安倍政権の公約でした。
その財源2兆円は消費税の引き上げによる増収分を充てにしたものです。
つまり、税率の引き上げありきの公約だったのです。
 
 消費税率の引き上げは確実に景気にブレーキをかけます。
2014年4月の5%から8%への引き上げでは、経済成長率(実質GDP前年比)が2%から0.4%に低下しました。では2019年10月の引き上げではどうなるのでしょうか?
IMFの世界経済見通しでは引き上げ前の2018年が1.2%、翌年2019年が0.9%、翌々年2020年に至っては0.3%の経済成長率と予想されています。
 
 なぜ、日本ではこんなに消費税引き上げが景気のマイナスに繋がるのか?

多くのエコノミストによれば、消費者の所得が増加していないことを指摘しています。
最近の勤労世帯の可処分所得は1997年の月49.7万円をピークに低下し、2017年では月43.4万円の水準となっています。このように、可処分所得が減り続けていますから、消費が増えるはずがないのです。
ちなみに最高の可処分所得だった1997年は消費税が3%から5%に引き上げられた時で、なんだか変な巡り合わせだと思いませんか?
 
 また、人口に占める65歳以上の年金世帯が多くなり、お金が掛る買い物などの消費よりも、仲間とのコミュニケーションや趣味などで時間を楽しむライフスタイルを好む方が多いように思います。
 
 では、若い世代はと言えば、将来の高齢化への備えとして、不十分な年金や医療費など社会保障制度への不安、潤沢でない金融資産や長寿化によってこれから先何歳まで生きるか分からない不安から、老後の生活防衛のために消費をせずに貯蓄する思考が強くなっています。

 最後に、インフレについては1990年のバブル崩壊から約30年も経っていますが、ほとんど物価上昇がありません。
消費者物価の推移を見ても、2015年を100として、2017年は100.4、さらに1990年に遡っても91.2とインフレは起きていません。
もし、将来物価が上がってインフレになるのであれば、値上がりする前に買おうという流れになりますが、今は急いで買う必要性を感じていません。
このことは消費税の引き上げ前の駆け込み需要を思い出すと分かります。
駆け込み需要を除いて、日本では消費性向は弱いのです。 

データは「寺島実郎の時代認識」を参考にしています。

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消費税の引き上げについて・・・

投稿者 Bush吉田 2018年09月25日

来年10月から、消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。
最近、クライアントからよく消費税の引上げについて、また延期されるのでは?と聞かれます。
確かに過去に消費税引上げは何度も延期されてきました。
そこで、この迂余曲折となった経緯をたどってみることにしました。
 
2010年6月、民主党政権の管内閣時に「社会保障・税一体改革案」が取りまとめられました。
 当時、消費税率は5%でしたが、2010年代半ばまでに5%から10%に二段階(5%⇒8%、8%⇒10%)で引き上げる方針が決まりました。
経済的なマイナスの影響を最小限に抑えるため、二段階で引き上げることにしたようです。
そして、増収分のうち2%は社会保障の安定財源とすること、3%は慢性的な赤字財政的な基盤の健全化のため、としました。
しかしながら、当時の与謝野税調会長は「財政再建の観点から云えば、15%、20%まで上げないと大きな貢献にならないが、できないことを言ってもしょうがない。実現可能な精一杯のところだと考えたのが10%だった。」と示唆に富んだコメントを語っています。

 当時の改正スケジュールは、2012年4月に5%⇒8%、2015年に8%⇒10%に引き上げる予定でした。
ところが、2011年3月東日本大震災が発生、甚大な被害を受け、巨額な震災復興の財源が必要となりました。当初は消費税引き上げ分で賄う予定でしたが、復興財源として所得税と法人税に対して復興増税が行われました。
そこで、2012年4月からの消費税率8%への引き上げは2年先に延期されました。

2012年12月に政権が自民党になり安倍内閣が発足しました。
アベノミクス効果か?経済状況(2013年実質GDPは2%↑)は多少良くなって、2014年4月に消費税率が8%に引き上げられました。

しかし、消費税増税後の2014年には経済(2014年実質GDPは0.4%の微増、消費者物価2.3%上昇、勤労者世帯可性分所得は減少)は低迷しました。
そこで、急遽2014年11月に、2015年10月から予定されていた8%⇒10%への引き上げは、2017年4月へ1年6ヵ月延期されました。
そして、2016年6月になって、引き上げが再度延期されました。
熊本地震の発生や、ブラジルやロシアなどマイナス成長や、新興国経済の経済不安から、2017年4月から2019年10月へさらに2年半も延期されたのです。
 
さて、今回の再延期後に、また再々延期があるのでしょうか?

2019年予算で成立しましたが、教育資金無償化の社会保障費の2兆円の予算前倒しがあります。
この予算は消費税増税分を充てにしたものです。
 これから先、2019年10月までに東・南海大震災や都市圏直下型の大震災や、世界的な経済ショックが勃発しなければ、予定通り消費税は引き上げられるでしょう。

なぜ政府は消費税引き上げに対して、慎重になるのでしょうか?
過去に消費税引き上げのタイミングを誤った、手痛い政策ミスがありました。
それは1997年4月の3%から5%の引き上げです。
これが経済不況のきっかけとなりました。当時は1991年以降のバブル崩壊で、資産デフレとなって、金融機関の不良債権処理や民間の債務過多の解消がされておらず、また、バブル崩壊後に100兆円規模の巨額な公共投資と所得税特別減税が景気対策のためカンフル剤として行われていました。
そこで、巨額な政府支出の穴埋めのため、消費税引き上げの5兆円と所得税特別減税打ち切りの2兆円で、財政健全化を図ろうとしました。
しかし、政府は厚生省所管の医療費の自己負担増(本人1割→3割)2兆円を見落としていたのです。
これが、消費の足を引っ張ることになりました。

また、運が悪いことに、1997年7月に「アジア通貨危機」が勃発し、11月に「北海道拓殖銀行」の経営破綻、追い打ちをかけるように12月には「山一證券」が経営破綻し、経済状況は悪化していきました。
「バブル崩壊後の失われた20年」はこのような様々な要因が重なった結果ですが、消費税引き上げはその要因の一つと云えるでしょう。

 学識専門家の間で、消費税引き上げが所得の低い人への負担が相対的に大きく、「逆進性」があるという議論がありますが、個人的には所得税が累進税率ですから、そうは思いません。
そして、所得の低い人には増税分相当額を給付金(所得税の還付のように給付金を渡す)で調整する方が合理的です。
マイナンバー制度が施行され、個人情報が明らかになり必要な者への給付が可能になりました。
しかし残念なことに、食料品などの生活必需品について目に見える増税に対して、内閣の一部に反対意見が根強く、今回の引上げについて軽減税率8%が導入されることになりました。
この議論から察すると、10%の消費税引き上げは道半ばで、これから先15%とか20%となる経過点であることを物語っているのでしょうか?

今回の改正は消費税の会計処理や税務申告が煩雑になって手間が掛かります。
また、食料品を扱う小売店などの現場で混乱が予想されます。
この「人手不足」の時代、また「働き方改革」をしなければならないビジネス環境にあって、経済活動の効率性への大きなマイナスになるように思います。

最後に、消費税の引き上げに係る諸問題が日本経済にとって命取りにならないことを祈っています。

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